「われの身に<癌>は無縁と過ぎ来しにマンモグラフィにその影のあり」
まさか!私に。。。という思いでした

「なにゆゑに吾の身に巣食ひたる<癌>ぞ怨みて眠れず亡兄(あに)を思ひき」
なぜ!私に?そんな気持ちで眠られなかったこともしばしば。。。

「亡兄(あに)は亡母(はは)、われは亡父(ちち)より遺伝子をより強く継ぎしも定めと悟れど」
兄は母の胎内でB型肝炎に感染して生まれ、それが原因となって62歳で他界。父は肝臓癌で他界しております

「ひたひたと身の内侵す憎いガン!ホークで刺して抉り出したい」
テーブルにフォークを並べていて、ふとこんな気持ちになったことがありました

「乗鞍岳に風の強くて冷たけれど空気はみどり 包まれて嬉し」
気晴らしに出かけた乗鞍岳 病気のこと忘れていられました

「剣ケ峰をあふぎて戻れば雷鳥の見守りゐしごと姿あらはす」
雷鳥に出会えたのはラッキーでした

「病のこと想へば不安の湧き立ちてそを掻き消さんとミシンを踏むなり」
つい悪いほうへ考えがちな気持ちを抑えるために、夢中であれこれ作りました

「伊吹山(いぶき)より見下ろす琵琶湖を乳房とせば竹生島には悪魔が棲みをる」
ポツンと浮かんでいる竹生島を見たとき、場所的に似ている!と。。。

「むらさきの気高き花のトリカブトよ乳房に巣くふ悪魔を消し去れ」
人を殺すほどの力を持っているのなら癌も殺してほしい!!

「ひとりになる夫を想ひて幾種かの献立考へメモに書き置く」
小まめな方は別として普通のご主人ならば食事に一番不便さを感じられるでしょうね。わが主人も

「不器用な夫の手付きに笑いつつ夕餉を二人で作るも楽しい」
練習に作ってもらいましたが、ほとんどやったことがない人ですから・・・でも楽しかった

「前あきのパジャマ二枚に家族らの気遣ひ縫ひ込み手術日を待つ」
パジャマ2枚と枕を用意して。。。

「秋雨がひねもす樹樹を濡らす日は心しづかに庭など眺む」
9月30日 不思議と心が落ち着いていました

「秋雨に濡れつつ番(つがひ)の蛇の目蝶ゆつたりゆうるりあを葉に休む」
ジャノメチョウをずぅ〜っと目で追っていました

「耳澄まし秋雨の音聞きながら心は亡母(はは)と海辺を歩む」
いつしか5分ほどですが眠ったようです

「忙しなき日日にこそ幸のおほかりき新たな幸を信じ入院す」
幸せは忙しい日々の中にたくさんあるんだと思います。また忙しい日々が訪れることを願って・・・

「台風が進み来るらしけふ手術。病巣の処置など脳裏に巡らす」
10月7日午後1時から。。。台風18号の進路が気になる中での手術でした

「術後には舌もつれて声出ぬもどかしさ眠れば消えて麻酔も覚めゆく」
声がでない!舌が縺れる・・・自分の言いたいことが伝わらないってもどかしいですね

「安静が解けし朝(あした)に屋上にて青空貪り空気吸ひ込む」
一晩の安静!歩けることのありがたさを実感しました

「胸帯がはずされ病巣の切除痕 なまなましさに涙こぼれ来」
強がっていてもやはり哀しかった!

「引攣りし手術痕にも治癒見えきて季(とき)移ろへば心も癒えなむ 」
外科的ところは日毎によくなっていきます。でも心は未だに不安から抜けられません。
でもそのうちには、気にしないでいられるようになると思っています



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